歯科衛生士が語る:「おすすめの歯ブラシ」は存在しない?本当に大切なのは“どう使うか”
これは、歯科衛生士として働いていると本当によく聞かれる質問のひとつです。
結論から言うと“おすすめの歯ブラシ”というものは存在しません。
なぜなら、私たちの口の中は一人ひとり違うからです。歯並び、歯茎の状態、噛み合わせ、力の入れ方、利き手……。どれも同じ人はいません。
つまり、「どんな歯ブラシを使うか」よりも、**「どんなふうに磨けるか
」**が一番大切なのです。
なぜ「おすすめの歯ブラシ」は人によって違うのか
海外の歯科ガイドラインでも、「正しく使えることが最優先」とされています。
例えば、Delta Dental(アメリカの大手歯科保険会社)では、
“The best toothbrush is the one you use correctly.”(最高の歯ブラシとは、正しく使える歯ブラシのこと)
と紹介されていたのをみたことがあります。
どんなに高価で最新機能がついた歯ブラシでも、動かし方や当て方が間違っていれば意味がありません。逆に、シンプルな手磨き用ブラシでも、正しい使い方ができていれば歯と歯茎はしっかり守れます。
それでも「参考に知りたい」人へ——歯ブラシ選びの5つのポイント
それでも「どんなのを選べばいいの?」という方のために、選ぶときに意識したいポイントを紹介します。
これは私自身も海外歯科ガイドを参考にしつつ、日々勉強している内容です。
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毛の硬さは“ふつう~ソフト”を選ぶ
硬めは刺激が強く、歯や歯茎を傷つけやすいです。強く当ててしまいがちな人は「やわらかめ」が◎。 -
ヘッド(ブラシの頭)は小さめで奥まで届くものを
大きすぎると奥歯や裏側が磨きにくく、磨き残しが増えます。特に近年、若い方の多くは顎が小さく大きいヘッドだと奥までブラシが当たらず奥歯の側面が磨けない場合が多いです。 -
自分の手に合ったグリップを選ぶ
すべりにくく、握りやすい形がベスト。力の入れすぎ防止にもなります。 -
電動ブラシは“補助的に使う”意識で
手磨きが苦手な人や矯正中の方には便利ですが、万能ではありません。磨き方の意識は必要です。 -
毛先が開いたらすぐ交換
歯ブラシは使い続けると毛先が広がり、磨きにくくなります。
結局は「道具」より「習慣」
結局のところ、歯ブラシは道具にすぎません。
どんなに良いブラシでも、正しい使い方と続ける習慣がなければ意味がないんです。
歯科衛生士の立場から言えば、
**「使いこなせる歯ブラシ」こそ、あなたにとっての“おすすめ”**です。
豆知識コラム
歯ブラシの交換タイミングは?
- 歯ブラシを逆向きに持ちます(自分側がプラスチックの柄、毛先は向こう側)。
- 後ろから見て、毛先の広がりが多く見えるようになったら交換時期です。
目安としては、1〜2か月で交換が一般的ですが、毛先の状態を見て判断するのが一番確実です。1か月たたないうちに毛先が広がる場合は力の入れすぎの目安にもなります
- 毛先が多く見える=毛束が広がっている状態
- この状態で磨くと歯と歯茎にしっかり当たらず、汚れを落としにくくなります。
関連リンク:
前回の記事「歯科衛生士と歯科助手の違いとは?仕事・資格・できることをわかりやすく解説」
noteにて、歯科衛生士が現場で言えなかった“歯ブラシ事情”を深堀公開しているので合わせてご覧ください。
→ 歯科衛生士が現場で言えなかった“歯ブラシ事情”|星野 京子





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